思考451度

日々思考尽候

マイクロソフトを辞めて、オフィスのない会社で働いてみた

スコット・バークン著

ブログシステムのWordPressを開発し、WordPress使ったブログサービス、WordPress.comを運営をしているオートマティックに入社し、人事、開発システムにメスを入れようとした著者の体験記。

「体験記」とは文字通りで、この書籍はリーダーになる人の教科書でも、オープンソースコミュニティを作ろうとしている人の参考書籍でも、会社運営、プログラマ教育、ビジネスのどれでもない。本当に体験記、日記が書かれた書籍でしかない。

ただ面白い。ワードプレスの開発モデル、オートマティックの人事システムを知るためではなく、読み物として面白かった。

マイクロソフトを辞めて、オフィスのない会社で働いてみた

マイクロソフトを辞めて、オフィスのない会社で働いてみた

オープンソースコミュニティは烏合の衆と変わらない。統率者がいなければ個々人が好き勝手行い、フォークを続け、どんどんと開発が分岐する。そして、烏は死に何も残らない。そこで開発が終わっているためにまた同じような新しいシステムが開発される。このサイクルが繰り返される。

オープンソースソフトウェアは自由度も大事だが、リーダーは必要だ。Linuxがうまくっているのも、慈悲深き終身の独裁者がいるからだ。LinusがいなくなったらLinuxがどうなるか、本当に創造すらつかない。

オートマティックにはリーダー格はいたとしてもリーダーはいなかったようだ。そこで著者が開発システムを構築しようと四苦八苦した記録が本書である。そこに技術的な話は殆ど無い。

オープンソースコミュニティに関係する人が読んだら面白いだろう。

オープンソースの成功―政治学者が分析するコミュニティの可能性

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